遠回り就活のすすめ

ここ最近、キャリア相談の件数が増えていました。

特に学生さんの就活関連の相談です。

今月だけで面接指導を含め、20名の学生のお話を聴かせていただきましたが、共通する課題として、「自己理解が深まっていない」ことが挙げられます。

これらの相談は、単純に「自分の性格は〇〇」とか「私の長所は〇〇、短所は●●」みたいな、面接テクニックの話ではありません。

僕は公務員試験の相談にも応じています。彼らは大学と併せて公務員予備校にも通う、いわゆるダブルスクールです。

面接試験対策という名のもとに、やはり実際の相談時間では、「何を聞かれるか?」、「志望動機はどう答えればよいか?」といったテクニックの伝授を希望する子が大半です。

模範解答を知りたがることは、決して悪いとは思いません。元々彼らは勉強熱心です。

一方で、ありきたりな言葉で言うと、面接に答えはないですし、自分の言葉で話す必要があります。

そもそも「なぜ、公務員受けるの?」と聞くと、なんだか申し訳なさそうに「安定しているから」といった答えが返ってきます。

彼ら自身でわかっているんですよね。こんな理由では公務員を選んではいけないと。

民間企業を受ける子も同じです。本音は「地元がいいから」と声を大にして言いたいけど、そんな理由じゃだめだとわかっています。

これが、働いたことのない子たちの現実で、現在の日本のキャリア教育の現状なんだと思います。

就労経験のない学生には、わかるわけがない。だから、外に答えを求めて、WEBや本、大人の誰かに頼る。

そうすると、なんとなく「いい答え」が見つかるから、面接は対応できる。ある程度伝える力があれば、面接は概ねクリアできますから。

確かに、面接対策指導者としては、「いい答え」をだしてあげたらいんだと思います。できなくはないでしょうし。

でもね。やっぱりそれは違うといいます。1年後の未来は作れても、3年後、10年後と続くその子のキャリアには役立たないんです。

だって、僕の答えで、その子の道ではないから。

この一番難しい、いわば、自分の中にそびえたつ「巨大な壁」を越えなければ、志望動機や、自己PR、そもそも本当の自分について、自分が語ることはできません。

話を元に戻うしますが「自己理解」という、就活生が初期に行う、この通過儀礼は、その後の志望動機にも自己PRにも面接で聞かれる質問の全てに繋がります。

僕が最近、「壁を越えて欲しい」と感じる子たちの共通点は、その学生自身が「自分は大した理由で公務員、あるいはこの企業を選んでいない」ということ。これ自体を認めることができていないことだと思います。

先にも述べたように、僕は彼らには、「志望する最もな理由はない」事のほうが自然だと考えています。

言葉を変えると、彼らは

「まだ、自分が働く理由を言葉にできていないだけ。自分の中で答えが見つかっていないだけ。」

なんです。

擁護しているわけではなく、今のキャリア教育や就活システムでは、働く理由を明確にすることはありませんので、言葉にできなくて当然という考えです。

一方で、彼らの課題は何かと言うと、自分の気持ちに正直になることではないかと思います。

僕は、現段階では、「近いから」「安定しているから」という理由で十分だと考えます。

この状態を、今の自分の正直な気持ち。正解不正解は問題ではない。

と自分が認め、さらには周りの大人も認めてあげることが重要です。

開き直りの精神を推奨するわけではなく、自分は就職に対して、働くことに対して、この考えのままでいること(進歩できていない)を理解し認めることです。

これは言うは易し、行うは難しで、決して少なくない人が「就職するのに安易な気持ちではダメ」と思っているからです。

それは僕らキャリア相談家をはじめ、大人にも言えることだと思います。

遠回りではあるけれど、僕のところに来てくれた学生たちは、真剣に考え、結局は自分の気持ちを確かめることからスタートしてくれます。

遠回りであり、面白くないように聞こえますが、自分自身の探究時間なので、お互いワクワクしながら進められたらいいと思います。

追記

先日、岡山の大島塾様が提供しているYoutubeチャンネルの一枠に出演させていただきました。

自己理解についての方法論や考えを提供していますので、ご興味あればご覧ください^^

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